夢はそこからはじまるよ ~虹2期1話を経て~

 

「あなたが私を支えてくれたように……あなたには、私がいる」

 

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自分達は˝あなた˝に応援されてここにいるから、もし˝あなた˝にも叶えたい何かができたなら、今度は私達が応援したい。

˝私˝を支えてくれた沢山の˝あなた˝に対して贈られた、スクールアイドルからの曲、「夢がここからはじまるよ」によって締め括られたTVアニメ ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 1期。

 

その続きの物語である2期の冒頭で示されたもの。それは―――、

 

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「与えるだけでいい。誰かに支えられなきゃパフォーマンスもできないアイドルなんて……情けないわ」

 

 

1期での結論に対する、バリッバリの宣戦布告であった。

 

 

 

 

 

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画像ちっちゃ(これしかなかった)

 

 

正直言うと、アニガサキ2期にはそれなりに大きな不安を抱いていた。

 

だってそうだろう。辛味噌(R3BIRTH)の3人を出すということは必然的にスクスタ20章に近しい内容を描かなければならないということ。自分自身そこまであの内容に目くじらを立てている訳ではないが、それでも周囲からの評価が喜ばしくないものであったのは知っている。それが故の不安は当然付き纏うものだ。

 

 

だが我々は忘れていたのだ。

2020年にも似たようなことを宣い、似たような心境でこのアニメに臨んでいたということを。

 

そして我々は忘れていたのだ。

不安の中始まったこの作品に――――度肝も心もぶち抜かれる結果に終わったことを。

 

 

 

まあ、つまりアレです。結論から言うとですね。

 

川村監督に田中仁氏、並びにこの作品に携わった方々、本っっっっっっっっっっっ当に申し訳ございませんでした。やはり貴方様方こそが神です。

 

 

さて、このように現実のオタクが全く成長していない反面で作中には成長してるオタクが存在するんですよ。それが˝あなた˝であり我々の代弁者でもある高咲侑。

 

彼女は1期で優木せつ菜というスクールアイドルに触れたことがきっかけとなり自らの夢を見つけ、2期の冒頭では彼女が悪戦苦闘しながらも同好会の皆と共に道を行く様子が描かれました。

 

そしてそんな高咲侑へのアンチテーゼとして虹ヶ咲学園に乗り込んできたのがショウ・ランジュ。自らの夢のためにステージに立つ人達を応援する選択をした侑に対し、ランジュは自らステージに立つ˝特別な存在˝になることを選びます。

 

その意志に違わずランジュの才覚は群を抜いたものであり、パフォーマンスにより観客を強制的に自分の世界へと誘う程の実力と魅力を備えています。

 

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(ここの演出はアニガサキお得意の領域展開(違う)が用いられてますが、1期1話での「Chase!」があくまでも侑の感じた体験の視覚化だったのに対し「Eutopia」は上述の通り観客を自らの世界に誘うような演出になってたのがまた良きですね。もう本当に与えるだけの者としてそこに顕現してるんですよ)

 

対し侑。

同好会での活動が忙しいことが響き、転科したばかりということもありただでさえ周囲より遅れている音楽科での授業で赤点を取ってしまう始末。22点でにゃんにゃん。

(実際普通科時代の侑の成績が悪いものでないことはこちらも1期1話で語られているのでそれなりにヤバい状態なのはなんとなくわかります)

 

そんな侑に対しランジュが放ったのがこの一言、

 

「同好会を離れて、その夢を真剣に追い求めるべきよ」

 

侑を突き放す発言とも取れますが、これは侑の夢を尊重しているからこその進言でもあります。

 

本気で夢を追い求めるのならば、それに相応しい場所に身を置くべき。

 

実際ランジュはSIFの映像を見てスクールアイドルのトキメキに触れ、自らもスクールアイドルになるという目標を果すべく虹ヶ咲へと留学をしています。(まあ結局スタンスの違いから同好会には所属しないのですが、それも上述の通り本気でスクールアイドルに向き合ってるから、なんですよね)

そんな彼女にとって夢を追い求めながら関係のないスクールアイドルを傍で応援する侑の姿勢は信じ難く映ったのでしょう。

 

ただしそこは流石の主人公。これに対してはしっかりとレスを返しており、ランジュの考えを認めた上で、

 

「でも、やりたいことをやりたいって気持ちだったら、私だって負けてないつもり」

 

と言い切ります。

 

そもそも侑の夢の始まりは「スクールアイドルを応援したい」という気持ちです。それが無ければまず音楽の道にも進んでいません。これに関してはランジュにも通ずるものがあるでしょう。

 

ランジュもまたスクールアイドルの輝きに触れて目標を得た者であり、その始まりはやりたいという気持ちだったはず。彼女ならばできるできないに関わらずそれを追い求めたはずです。

 

そしてそれは侑も同じ。(まあここに関しては正直憶測な部分も大きいですが)侑にとってはスクールアイドルの皆を応援することも夢を追い求める内の一つなのでしょう。だからそこに出来るかどうかは関係ありません。

 

(出来るかどうかではなくやりたいかどうかというのは偉大なるかんかんみかん先輩も仰ってましたし)

 

 

 

 

 

 

それを踏まえた上で冒頭に挙げたランジュの発言に戻ります。

 

彼女の主張としては「誰かに支えてもらうアイドルは自分の理想と違う」、なのですが、ニジガクの皆はそうではありません。

 

虹ヶ咲は「個」であり「仲間でライバル」です。けれどそれは自分ではない誰かと繋がっていることで初めて成立するもの。

特に果林先輩の回なんかでは強調されてたと思いますが、彼女達は誰の応援に支えてもらうことの大切さ、それにより発揮できる力を知っています。そしてその集大成こそが最終話のSIFでした。

(だからこそ侑と共にランジュと正面から向き合えたのも良かったですね)

 

 

互いが互いの在り方の強さを知るからこそぶつかり合う第2回SIF。

もうたまんねぇなこれ。

 

 

この物語が何処に進んでいくかはわかりません、ランジュが誰かに支えられることでの強さを知って仲間になるのかもしれませんし、高咲侑トゥルースになるのかもしれませんし、また我々オタクの想像を超えた展開が待っているのかもしれません。(下記画像は極端な例です)

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けれどいずれ示されるであろう彼女達の答えがまた素晴らしいものであることを願って、我々はその行く末を見守るとしましょう。

 

初めて筆を執った形となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました